So-net無料ブログ作成

独り言

「このワンちゃんは日本語が分かるのですか?」
老犬を連れて歩いていたら高齢の夫人からこう話しかけられた。

私が犬に向かって「こっちへ行く?」「あ、そちらはだめだよ」「ええ?ここでうんちなの?」とかブツブツ言ってるのを聞いていらしたらしい。
「いいえ、とんでもない。全然理解しません。この犬呆けていますし、大体耳が全く聞こえませんし」

考えてみれば、私って変だな。
若い時から「おいで」「お座り」「お預け」「だめ」くらいしか理解しなかった犬に、今では耳も聞こえなければ、目だってどれくらい見えてるか分からないのになんでこんなに色々話しかけるんだろう。
でも、その理由は分かっている。
要するに色々しゃべっているのは私の独り言なのである。



私は独り言の凄く多い人間だ。
実家で妹と片付けをしてて言われたことがある。
私が「これどうしよう?」「そうか、こうすればいいんだ」ぶつぶつ・・・
自分に問いかけ、自分で答えて解決していると。
いつも自問自答しながらしゃべり続けている(らしい)。

独り言が多くなるのはゆっくり動くときで、ゆっくりゆっくり歩く老犬の散歩とか、親の家の片付けで考えながら迷いながら整理するときだ。

犬の散歩でも若い犬の時は独り言を言ってる暇はない。
自分の家の家事でも多分独り言は出てない。
ささっと片付けなきゃならないから。

行動する中で間が持てない時、私の独り言は始まる。

父が亡くなって今年は23年なのだそうだが、その父の最後の数ヶ月、母と妹と私の3人交代で病院に詰めていた。
私は意識のない父の枕元でしゃべり続けていたことをはっきり覚えている。
夜から翌朝母と交代するまでの長い時間、人工呼吸器の規則的な音と遠くで時々聞こえる看護師さんの声だけの静寂の中で、無言で父に付きそう強さが私にはなかった。

今日はね・・・とその日の報告に始まって、昔話、ネタが尽きると延々歌を歌った。
童謡が多かった。
父に話しかけるというより、これは完璧に独り言だった。
今思うと、この時の病室から私の独り言癖は始まったのだと思う。
返事がなくても平気。
しゃべることに意味がある。

でも、返事があれば最高。

母を施設に見舞った。

私の顔を見て喜んでくれたし、30分ほどおしゃべりをした。

「美味しい」

それはよかった

「川の傍にうなぎ屋さんがあったの」

その頃は天然鰻だね、それは美味しかったでしょう

「美味しい」

それはよかった

「川の傍に・・・」


同じ言葉の繰り返しだったけれどおしゃべりが弾んだ。
明日になれば、私と会ったことも忘れるだろうけれど、独り言じゃなくて会話したことが凄く嬉しい。


バイモユリが咲いている。
s-20170307013.jpg

庭中にバイモユリ
s-20170318010.jpg


この花、好き!
s-20170307014.jpg









nice!(9)  コメント(2) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 9

コメント 2

erena

ななこさんの分析で気付くことが良くあります
違和感あっても上手く言い表せない事とか
「強さが私にはなかった」そうゆうことだったんだ・・とか。

忘れてもお母さまは今もその時も お幸せだと思いました。

「このワンちゃんは日本語が分かるのですか?」
「えっ・・」て思ったら何だか吹き出しちゃいました(^O^)
私も独り言 凄い方です(笑)

バイモユリ 「おいで」しているみたいですね^^
by erena (2017-03-21 00:21) 

ななこ

erenaさん
病室での付き添いは、特に夜は辛いです。
時計ばかり見て・・時間がちっとも進みません。

今の母は幸せだと私も思います。
ほんとに壊れてしまった認知症ではなく、重度の短期認知症ですので、今話してることは理解します。
楽しかった昔のことは記憶として残っていますので、同じことの繰り返しでも根気よく聞きます。
基本いつもご機嫌です。

>「このワンちゃんは日本語が分かるのですか?」
これには一瞬、私も考えてしまいました^^
足元がちょっとおぼつかない感じの高齢者でしたから、犬にペラペラしゃべる私を真面目に変な人と思われたのかも知れません。

>バイモユリ
「おいで」「おててつないで」
バイモユリは表情豊かです^^

by ななこ (2017-03-24 19:26) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。